セントレントの陰姫

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 女性の部屋にやって来た男性客、ビネマン。彼は情報や仕事の斡旋を生業としている。広い人脈と知識で多くの顧客と顧客兼作業員を持っている。 「いいか? 武器を不法に売りさばいている奴らってのは仕入れるための密輸ルートってのがあるんだ。それを聞き出さなきゃ本当の意味で仕事の完遂にならねぇんだよ」 「知ったことか。私の仕事は壊滅だったはずだ」 「壊滅と皆殺しは違うんだよ。おかげで金になる情報を手に入れるのに必要以上に時間がかかったじゃねぇか」 「だったら壊走させろと言うべきだったな。戦場にいた私にとって壊滅は皆殺しと大差ない。壊走は蹴散らせと言う意味になる」  椅子に座ったビネマンががっくりとうなだれる。想定外の返答が来たのか、それとも扱いの面倒くささにため息が漏れたのか、とにかく呆れてしまっている。 「いいか? よく聞け、レカンナ」  眠たそうにベッドに腰掛けている女性をビネマンが強く見据える。     
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