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「俺がお前を重宝しているのはこの間まで盛大にやり合っていた『セントレント戦争』の生き残り、それも終戦間際に行われた最終軍事衝突で壊滅的な被害を被った最前線の生き残りで腕が立つからだ。お前は腕っぷしを生かし、俺は情報と仕事を獲得する。それでお互い金が手に入る関係が成り立っているってわけだ。少しは器用に生きろ。そうすれば俺も余計な手間を増やさないで済む」
戦争という言葉を聞いた瞬間、レカンナと呼ばれた女性の表情が寝惚け眼からどこか物思いに耽るような様子に変わる。だがそれも束の間で、彼女はすぐ平静を取り戻す。
「あぁ、はいはい。わかったよ。それで? 今日は何の用だ? また報酬の減額か?」
「密輸ルートの情報が手に入らなかったらそうだが、あいつらが隠し持っていた資料で何とかそれがわかった。だから今回は大目に見てやる」
「そうか。それで? まさか直接報酬を手渡しに来たわけじゃないよな?」
ビネマンは「当たり前だ」と言ってポケットから折りたたまれた一枚の紙を取り出す。
「仕事だ。昨日の奴らの資料を見てある組織とのつながりが見えた」
取り出された紙に書かれた内容がレカンナの目に映る。
「今巷を騒がせている武装勢力か。これは大手柄だな」
「ああ、不法な武器商人から大量に武器を買ってやがる。近々ド派手に何かぶちかまそうって腹なのは間違いないだろうな」
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