序、回想

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 航空城塞には他にも数多くの小粒の飛行兵器が搭載されている。一人乗りで小回りが利く攻撃兵器である飛行魔艇に、複数人が搭乗できて多様な用途に使える制空魔艇。それらが航空城塞の周囲を完璧な形で取り囲み、鉄壁など薄い紙切れとしか思えない防御陣形をとっている。  自分が乗るのは一人乗り用の飛行魔艇。それも型落ちの物を何とか手に入れ、多少改造を施しただけのもの。機体を空の色に染めることで視認されにくくするという工夫こそ施されているが、機能や性能で言えば明らかに劣っている。数でも質でも圧倒的に勝っている敵に挑んで勝つのは不可能。故にこの攻撃はただの自殺だ。  数多の防御壁とも言える飛行魔艇と制空魔艇を掻い潜ったとしても、航空城塞にはどう足掻いても勝ち目がない。飛行魔艇が可能な攻撃は小粒の魔弾石を連続で射出する攻撃が主であり、この攻撃力は対地兵器用と対魔艇用のために作られているため攻撃力は極めて脆弱。予備の攻撃手段としてあるのが爆発する爆魔岩や一気に燃え上がる焼夷岩を投下することくらい。しかしその投下攻撃は上から下のみ。航空城塞の上部は不屈不滅の大地のように、幾多の投下を受けても全く痛みを感じない。飛行系の兵器が世界中のどこを探しても航空城塞と飛行魔艇と制空魔艇の三つしかない以上、航空城塞を破壊することは航空城塞同士での交戦以外にありえない。     
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