序、回想

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 もちろんあの状況で王と乗組員だけを殺すことなど不可能。そして命令に従っただけだったことも話したが、何一つ聞き入れられることはなかった。しかしその後も続いた革命戦争での英雄的な戦果のおかげで死刑は何とか免れた。もっとも、その後は十年という長い期間を独房で過ごすこととなった。大量虐殺者としては軽い罪だと諦めて自傷気味に笑った当時が懐かしい。  そしてそこでいつも夢は終わる。確実な死を乗り越え、英雄となって、独房の中で絶望を感じた。出所後の生活に希望もなく、刑期をただ無気力に過ごしていくことだけが自分の人生だった。  そしてようやく独房での生活を終えて出所を迎える。その出所の直前に一つの報が自分を驚かせた。その驚きは自分が裁判にかけられると知った時以上の衝撃だった。その報の内容は『航空城塞の生き残りがいた』というものだった―――――
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