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「予想だよ。我が家は役所も認める厄介な家だからね。こんなご時世だから、みんな面倒事は避けたがる。そんな時に厄介ごとを抱えにやってくる人には当然わけがあるってことだよ。我が家にやってくるなら理由はだいたい二つ。元使用人か、キリングブルーかの二つに一つ。君の顔に見覚えはなかったし、君も初対面だという対応だった。なら答えはもう一つの一択だよ」
旦那様はそう得意げに言うとまた酒を口にいっぱい含む。そして喉を鳴らして口の中に入った酒を飲み干した。
「キリングブルーは処刑された・・・そう報道されませんでしたか?」
自分が出所してからの一か月間、ゼフとの会話の中でキリングブルーが処刑されたことになっていると聞いていた。そのためケンは旦那様の言葉に想像以上の意表を突かれてしまったことになる。
「新聞やメディアの報道っていうのは見る人が見ればすぐにわかるものだよ。情報操作や印象操作は珍しくないからね」
旦那様は得意げに語り始めた。
「あの時代の新聞の一面は今でも覚えているよ。キリングブルー処刑か、大量虐殺の罪は死刑が適当、英雄は一転して死刑囚に転身・・・っていうのが多かったね。一見しただけだとキリングブルーが処刑されたりされることが決まったかに見える。けど、どこにも処刑決定なんて言葉はないんだよ」
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