禁断の地と永遠の象徴

3/33
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
 世界中を回って魔王の手下を倒して魔王のもとへと向かう王道ストーリーをこなし、各地にいる様々な種族の仲間達と協力してようやく魔王を倒すことに成功した。これにより俺は魔王討伐を成し遂げた英雄として平和な世界で恵まれた生活を送ることになった。  魔王の脅威と最大派閥の崩壊により各地では知らない間に種族同士の争いが起こり、それが少しずつ大きくなっていく。ある日、気が付けば異世界は戦国時代の真っただ中へと変貌していた。各種族同士が血で血を洗う争いが勃発。世界征服を狙う種族もいれば自分たちの身を守るために戦う種族もいて、それぞれがそれぞれの理由で戦っていた。当然そうなれば俺は再び戦場に赴かなければならない。そこで問題になったのは俺が召喚された種族が妖精族だということ。妖精族は全種族の中でも戦闘能力が最低クラスだったのだ。戦闘能力が高い獣狼族や竜族に魔法力に長けたエルフ族など、かつてともに魔王と戦った頼れる仲間達と戦わなければならなくなっていた。そこにさらに魔王が復権をかけて挙兵し、世界はまさに混乱に次ぐ混乱の混沌とした状況になっていた。  その長い戦いを乗り越えて俺はようやく安穏とした時を過ごしている。俺はこの世界ではもはや絶対的な英雄として存在している。元の世界では絶対にあり得ない結末だ。その結末に俺は十二分に満足している。     
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!