禁断の地と永遠の象徴

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禁断の地と永遠の象徴

 朝、屋外から聞こえてくる小鳥のさえずりが目覚まし。朝日により閉じた瞼の向こう側が明るくなっていく。そうなると次に来るのは毎日の恒例、全ての男子の憧れのシチュエーションの一つといってもいいだろう。 「おはようございます」  ベッドで眠る俺のもとにやってきて朝の挨拶をする女性。  褐色肌で健康的な体に長く尖ったエルフ耳。優雅で高貴な立ち振る舞いが容姿端麗な魅力をさらに引き出す。そんな女性が身に着けている衣服は従者の象徴たるメイド服。彼女は俺専属のメイドだ。  長く尖ったエルフ耳でわかると思うが、彼女は当然人間ではない。いや、むしろこの世界に人間は一人もいない。人間はこの世界で俺一人だけなのだ。 「今朝のご気分はいかがですか?」  甲斐甲斐しく世話をしてくれる彼女はかつて俺と二度敵対した魔族の王女。二度の敗戦により一族郎党死罪が濃厚となったところを俺が何とか平和的に解決した。二度の温情に感謝を示した魔王とその娘である彼女は人質兼贖罪として今は俺専属のメイドを務めている。 「気分はかなりいいぞ」 「それはよかったです」     
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