ストーリーメーカーズ

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 その日の昼は卒業した大学の就職相談室に行った。 「求人倍率は売り手市場で、第二新卒はハンデじゃない」「中小はむしろ人手不足なはず、視野を広く持って職種や業種を思い切って広げて」  現役の時から毎回同じことを言われて、何とかビックサイトやらかんとかメッセで行われる合同説明会のパンフレットを一式もらってくる――デジャヴなんてもんじゃない。  夜はコインランドリーで仮眠する。大っぴらに寝られないのはまだしも、スマホの充電が気軽にできないのがネックだ……ホント、なんでこうなっちゃったんだろう。でも頭を下げてまで彼女のとこに戻るのはプライドが許さない。そもそもブロックされてる僕ごときのプライドが一体何ほどのもんだよ、って話なんだけど、さ。  そろそろ「崖っぷち」通り越して詰んでるかもな。でも地元にだけは帰りたくない。小学校から高校までパッとしないいじられキャラで、リア充マイルドヤンキー揃いのクラスではイタい思い出しかない。パッとしない地元で妥協して就職したあいつらと今さら同列になり下がるのだけはごめんだ。いやいや、下手すると高卒や専門卒のあいつらが面接官や新人教育担当、なんて可能性もある――冗談じゃない。  かといって就活がひたすら相手の評価を待つ受け身の作業である以上、一発逆転の奇策、なんてものがあるはずもなくノープラン、ノーアイディア。せめて生活費だけでもあればな。実家に再び仕送りの催促をし後はスマホの中に逃避する。
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