ストーリーメーカーズ

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 そんな時に同期がやらかしてくれた。僕宛の郵便物が届いたらすぐにSNSで連絡をくれるはずが、ずっと何日も連絡がなかった。何回か確認のメッセージを入れてもDMだけだと言うし。置きっぱなしでも迷惑だろうし、しばらくぶりに友人の部屋に行った。  洗濯乾燥中に仮眠を取ろうと立ち寄ったコインランドリーの長椅子でまとめて持ち帰った郵便物を開封しながら手で細かく裂きゴミ箱に入れていく。スーツのチェーン店にポイントカード会員だったビデオ店のキャンペーン、ファストフードキャンペーン、家電屋の……と、その中に志望先の企業の封筒が混じっている。嫌な予感に身体じゅうの毛穴が全開した。案の定、中からは既に終わってしまった面接の通知が出てきた。一瞬頭が真っ白になりそれから怒りで沸騰した。そばに奴がいたら間違いなく怒鳴りつけていたと思う。ただでさえ希少な友人関係なんだからと無理にでも一呼吸おき、かなり感情を抑えた文章を創作した上で質問形のSNSメッセージで送った。奴は「届いた日にメッセージを送った」の一点張り。僕はさらに一呼吸おいてこう送った。 『正直に言ってくれればいいんだ。怒ってないから』  いや、嘘だ。めちゃくちゃ頭にきている。 『悪い。色々バタバタしててさ』  バタバタしてた、だと?嘘つけ。人の将来何だと思ってんだよ。お前のバタバタなんかどうせゲームの新バージョンの発売日だとかネトゲのイベントデーとか、どうせそんなんだろ。もっさりしたメタボのコミュ障のくせに、頼まれたことの一つも責任持ってできないって人としてどうなんだよ。そんなんだからあんなクソ大学の猿でも取れるような単位を落とすんだ。今年もどうせまた留年だな。
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