ストーリーメーカーズ

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 と、一通り浮かんできたセリフをレベル半分くらいにトーンダウンして三分割して送ったら一つ目のメッセージに『怒らないから正直に言え、というから言ったのにブチ切れるなんて反則』二つ目に『ジュネーヴ条約をタテに病院船でミサイルを送るような暴挙は人道的に許されない』という小学生が逆ギレしたような返信が来て、三つ目には『前々から思ってたけどお前はそんなだからダメなんじゃないか』と彼女のトドメのセリフと同じことが書いてあった。  何その上から目線の人格全否定。だからだめ、って何だよ。だいたい貴様、何様だよ。グダグダと理屈っぽすぎんだよ、このキモオタ。  怒りでリミッターの外れた僕は怒りに任せて前述のセリフを原文ママ+怒涛の六分割で送ろうとした……ら、二分割目の送信途中でブロックされた。脳味噌SSサイズの、チキンなカス野郎め。  前からいい加減さが気になる奴だったし、そいつとの人間関係は全く惜しくないんだが公の連絡先を失ったのはイタい。それ以上に居場所もないし金もない。金がないのが一番イタい。だいたい、今どき面接の連絡がメールでも直電でもなく郵送のみ、って会社としてどうなのさ。  僕はスマホに逃避した。リアルの知り合いの目の届かないアカウントに向かってぶちまけたら色んな反応が来て荒れる荒れる。僕は腹立ち紛れにますます噛みついた。  そのうち、一人のフォロワーが心配してメールをくれた。女の子だけど、行く場所が無くって困った時に一度部屋に泊めてくれたことがある。と言っても、男女の仲になるとかそういうことは何にもなかった。 『あたし、夜はバイトで留守だし、入れ違いでしばらくうちにいてもいいよ?』
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