転生輪廻

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転生輪廻

 微睡の世界から徐々に覚醒していく意識の中、真っ先に自分の体が感じ取った感覚は何故か固い寝床。ごつごつとした感触が背中をずっと押しあげているかのように背中に当たっている。その感覚がこれ以上の安眠を許してくれそうもない。 「おい、いつまで寝ている気だ? さっさと起きろ」  ごつごつとした背中の感触に付け加え、体を何かが小突いてくる。その接触を感じ取ってようやく自分に向けられた言葉であるとわかると、気怠さを何とか押し退けながらもゆっくりと目を開いていく。 「やっと起きたか」  開いた目の前には自分を見下ろしている一人の男性がいた。しかしその男性に見覚えはない。見たこともない顔と聞いたこともない声が自分に向けられている違和感と気持ち悪さ。それが決定打となり、微睡の世界から完全に決別することができた。  無意識に起き上がった自分の体によって変わった視線によって目に映る光景が一変するとともに、多大な混乱が思考を完全に停止させてしまう。 「ここ・・・どこ?」     
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