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鏑木さんの告白に、動揺している自分が許せなかった。
私が私以外の女子社員なら、私を許せないと思った。
こんな気持ちで会社に来ていていいんだろうか?
『明日、退職願をだそう』
出勤同時に営業管理課の課長に退職願をだした。お決まり文句なんだろう。
「一応、預かっておく」
と言われた。
「よろしくお願いします」
そう言うと私は自分の席に着いた。
「やっと辞める気になったのね」
「早く辞めちゃえばいいのよね~」
周りでこそこそ、女子社員が話しているのが聞こえた。
「無駄口きいてる暇があるなら、仕事すれば?遅れてるんでしょ?たまにはミスしないで仕事仕上げてみたら?」
私は今まで言ったこともないような言葉を投げた。
「な、何よ…」
同僚達は、慌てて散った。
『仕事もまともに出来ないくせに、色めき立って、真面目に仕事しなさいよ。ミスしないで仕事出来た試しがないのに…。でも、最近の私はあの人たちと変わらない…』
もう辞めることを決めたら、急に気分が楽になった。今まで心に留めておいた言葉がスルスルと出てきた。
「おいおい、珍しいな。如月の口からそんな言葉を聞くとは思わなかったな」
その言葉にハッとして振り返ると、腕組みをした望月課長が立っていた。
「いつもなら、そんなの無視して仕事してたんじゃないのか?」
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