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納得出来なかった私は、望月部長に噛みついた。部長は立ち上がると私についてくるように言った。
空いている会議室に入ると、部長は話し始めた。
「お前さ、本当に辞めたいわけ?仕事嫌いなの?俺さ、辞めたら勿体無いって言ったけど、それってさ会社にとって勿体無いってことでもあるんだよ。如月は自覚あるかないか知んないけどさ、お前の処理能力はすごいんだよ。知らないだろうけど、他所の部署の上のモンも認めてるんだぞ」
私は反抗的な目で、望月部長を睨んだ。
「はぁ…なんて言ったら納得できる?」
しばらく間を置くと話し始めた。
「お前さ、採用試験で採用された理由、一番若かったからだと思ってるだろう?」
「そう、聞きました」
「うちの会社が、そんな理由で女子社員を採用したと思うか?叔父貴は…あ、会長はお前の能力を期待してたんだ。」
「でも、面接で泣いたりしたし、絶対落ちたと思ってました」
「まあな。でも、以前にもいたんだよ泣いた奴が。お前さ秘書課の小池、知ってるよな?あいつの評価がものすご高いのも聞いたことあるだろ?実は、あいつも面接で泣いたんだ。それも質問内容、お前と同じだったんだ」
「はあ?」
細かい質問内 容は忘れてしまったけど、なぜ泣いたかは覚えてる。
「お前さ、悔しくて泣いたんだろ?」
「小池もさ、同じで悔しくて泣いたんだ」
社長が男性社員と女子社員を比べるような発言をした事を思い出した。
それで悔しくて、涙が出てしまったんだ。
「社長は、いつかその気持ちが仕事に役立つ時がくるって信じて、お前たちは採用されたんだよ」
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