分岐点

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「おはようございます」 「あー、如月。ふぁ~~、はよ~」 新事業企画室の朝が来た。 「酒くっさ…また、二日酔いですか?部長…凝りませんね」 「うっせーな…仕方がねーだろ?接待なんだから…あー如月、水買ってきて」 「接待の度にこれじゃ…仕事進まないじゃないですか。ったくもう…」 「おい、なんか言ったかぁ?」 「水ですね~って言ったんです」 「嘘つけ、ったくもうっつたろうが…」 『聞こえてんじゃない…配属された時は、ものすごく発破かけられて、やる気十分できたのにぃ…』 小銭入れを持って部屋を出た。 「おぉ、麗奈。おはよう」 「あ、及川さん、おはようございます」 あんなにごたついた及川さん。私の配属が決まってから、少し距離を置くようになった。 「部長、元気?」 「あー、相変わらず…二日酔い…」 「望月部長、酒弱いよな?麗奈が代わりに接待行けば?」 「はぁ…ねえ?私もそう思うけど、行かしてくんないだよね。なんであんなに頑ななの? 絶対、仕事は上手くいかないと思うけど…」 「上司の意地?みたいな?」 「さあ…」 配属されて三ヶ月、新事業を進めるために週に二回は接待で飲んでる。 『…いや、接待側がそんなに酒に飲まれてどうする…』 私といえば、指示通り資料を作成して、次から次へと部長の机に積み上げてる。 「あれじゃ、今日は資料のチェックは進まないね~」 「そう思うわ。今になだれが起きるんじゃないかってヒヤヒヤしてる~」 「優秀な部下にそんなこと思われてるんだ。でも、意外だったよな、麗奈の話を聞く度に、部長に親近感湧くよ。…じゃあな、頑張れよ」 「ありがと」
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