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『辞めるって思い詰めていたのがウソみたいだな…あの時はあんなにしんどいと思ったのに、こんな風に話せるようになるなんて…』
ほんの三ヶ月前までは、ドロドロの三角関係で悩みに悩んでいたのに、辞令をもらった途端、全員の目が覚めたみたいな感じで、一気に落ち着いた。
『男と女の関係って、そんな感じなの?
あんまり経験ないから、余計にわからない。だけど、今はそれどころじゃないし…辞令に感謝しないといけないのかな…それとも…部長?』
「はい。部長、買ってきましたよ…って、寝てるし…」
水を買って戻ると、望月部長はソファで死んだように眠っていた。
「あーあ、しょうがないな。全く…」
近くにあった自分のひざ掛けを、そっとかけた。
二人だけの新事業企画室は、部署名のわりには緩い空間だった。
でも、本当に私で大丈夫?
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