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「可愛い後輩の鈴木には見せてやる、私の宝物だ」
「これ……本当に見ても?」
「ああ」
飾りの一つもない黒いアルバムだった。
最初のページには、髪の長い少女がいた。
優しげに微笑んでいて、それはそれは美しい。
しかし、殺風景な黒に縁取られて殆ど遺影だ。
「あのう、これはご家族ですか?」
「いや、若き日の私だ」
「今でも充分若いですが、え~っ、これ佐藤先輩?!」
「この頃はまだ女に見えてたんだよ」
突っ込んでいい所なのか、鈴木には全くわからない。
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