アルバム

【一】

「幼稚園の入園式の日だ。あろうことか、田中は私を泣かしたんだ。髪を引っ張って、でっけぇやつ！って。田中はその頃は小さくてな。でも、私には耐えられないくらい悲しいことだった。私は母にせがんで髪を切ってもらった」

女の子にとってはショックな出来事に違いない。

「そして次の日から私は田中を一日一回は殴ることにしている」

(どうしてそこに行き着いた)

内心の突っ込みは隠して、鈴木は微笑んだ。