ACT6

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「彩音は二つ上だけど、従妹の中でも仲が良くて。家はかなり離れていたけど、スマホを持つようになってからは、週に何回かメールしてたの。それで彩音が高3になった時に、ハルカさんや響くんの名前が出てくるようになって……」 彩音のヤツ、どんなこと言ってたんだ。 内容が気になるところだが、知ったところで腹が立つだけだ。 「なるほど」と相槌だけを打って、続きを促す。 「でも彩音が遠い大学に行くようになって地元を離れてからは、全然連絡とってなかった。で、私もすっかり忘れてたんだけど」   江梨奈はチラチラと彰の様子を気にしながら、言葉を繋げる。 「大学に入ってすぐの飲み会で、響って聞いて……そう言えば同じ名前だな、って思って。でもまさか同じ人だなんて思わないし、その時は人数も多くて席も離れていたから、喋らなかったんだけど。ちょうど私の斜め前にいた彰が、響くんの友達だって別の子に聞いて……なんとなく話しかけたの」 「やっぱ、そうかよ」 途端、彰が低い声で呟く。
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