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「オレが響の友達じゃなかったら話しかけなかったのかよ」
「それは……でもね」
江梨奈は困った顔をしながらも、視線を落としている彰を真っ直ぐに見た。
「話したら、すごく楽しくて。彰と連絡先交換して、告白された時は、本当に嬉しくて」
「でも響のことがなかったら、話しかけなかったんだろうが。それも全部、あの女に言われたんじゃねえのかよ」
「違うよ。私はハルカさんと話したことも会ったこともないよ」
「だったらギャル従兄弟から言われたんだろ」
「だから、言われてないよ。彩音とは、響くんと会ったその日、数年ぶりに会ったの」
「メールじゃねえのか?」
「それもしてない……どうしたら信じてくれるの?」
今にも泣きそうな江梨奈を見て俺は「ちょっと待った」と、二人の間に入る。
やっぱり妄想探偵は、江梨奈の言葉を全然聞かない。
本当に、全く。
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