ACT6

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「何だよ、響。黙ってろ」 ギロリと睨んだ彰に「あのな、落ち着けよ」と、掌を見せる。 「そもそも陰謀なんかないんだよ」 「なんでそう言い切れる」 「何で? どう見たって江梨奈は、彰のことが好きだからだ」 キッパリした言葉に、彰は黙り込む。 だから俺は速攻で「いいか」言葉を繋げる。 「数億万歩譲って、これが陰謀だとする。で、俺がこの状況になったなら、さっさと別れてる。だってバレた時点で任務は終了だ。これ以上、面倒臭い彰の相手なんかしたくないからな。でも江梨奈を見ろ」 俺は赤く腫れた目で、切なげに彰を見つめる江梨奈へと掌を向ける。 「こんなに必死で、彰と話してるだろ。何でか分かるか? 分かるだろ? 分かってるはずだ。陰謀なんかないって。――彰はただ、自分に腹を立ててるだけだ。江梨奈が黙って俺に会ったことは、自分に足りないとこがあったせいだって。でもそれを、言いたくない……認めたくないだけだろ?」 途端彰は、大きくため息をついて目を逸らした。 その表情から、気まずさと、恥ずかしさと、苛立ちを感じる。 江梨奈は少し驚いたように「そうなの?」と瞬きを繰り返したけど、彰は答えない。 でも俺は、いま分かった。
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