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6月上旬。本格的な夏がすぐそばまできて暑さを肌で感じる時期。数日前オープンした商業施設が迎える初めての日曜日。ループステーショナリーはあわただしい空気に包まれていた。
正直、泉は100円均一や量販店で文房具を買うことのほうが多く、基本定価販売の文房具店はそんなに忙しくないんじゃないか、と考えていた。
が、それは大間違いだった、と空調は効いてるのに汗を流しながら商品を袋に詰めていた。
「合計で4320円です」
レジは一台しかないレジカウンター。そこに泉を含め今日の出勤四人が右往左往している。
いまは10人ほど並んでいて、どうしてこんなに多いのかと謎に思わずにはいられない。
あと30分もすれば6時半で早番だった社員の木内とバイトの篠崎が帰ってしまう。
それまでにこの波が引けばいいがどうなんだろうか。
その間にも電話はかかってくるし、すみません、と呼ばれる。
とりあえず丁寧に間違えないようにと泉は必死で働いていった。
「いいよ、上がって」
ようやく並んでいたお客がすべて捌けた、と一息ついたとき一貴が木内たちへ声をかけた。時計は6時40分を指したくらいだ。
「大丈夫ですか、店長?」
「まぁなんとかなるだろ。いまここで帰らないとずるずる残業になるぞ。あとは俺と早川くんでがんばるから、な」
笑いかけられ泉はいままでの疲れが一瞬で吹き飛ぶのを感じながら大きく頷いた。
「はい! あとは任せてください! 一応俺もバイト経験豊富なんでレジ打ちまくります!」
一貴に頼られてる! ここで踏ん張らなきゃ男じゃない!
泉の勢いに一貴たちは楽しげに笑い、お疲れ様でしたと売り場を後にして行った。
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