3.恋って夢見がちなのです。

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「よし、お前いつ暇? 飲み行こうぜ! じっくり話し聞いてやる」 「……だから違うって……」  完全に間違っているわけじゃないが、親友だからといってそう簡単に男を好きになった、なんてカミングアウトできるわけじゃない。  がっくりとした気分でごろごろと転がり壁にぶつかる。  どう誤魔化せばいいのか。それさえ経験不足でさっぱりだった。 「それに最近飲みいってないだろ? いつ暇なんだよ。合わせるからさ」  健二が言い出したら聞かないことはもう五年になる付き合いでよくわかっている。確かにここ二、三か月会っていなかったし、恋愛相談は別にして息抜きをしたい気持ちもある。  泉はシフトを思い出しながらため息をついて答えた。 「……再来週の土曜は?」  その日は早上がりでなおかつ日曜月曜と二連休になっている。 「りょーかい。他の奴らも誘っておく」  たいていあと二人、高校時代の友人と一緒に遊ぶことが多かった。 「……わかった」 「じゃーな。ま、なんか困ったことあったら言えよ?」 「ねーよ!」  健二の軽い笑い声が聞こえてきて電話は切れた。 「……困って……はないけど、相談なんてできないよなぁ」  スマホを握り締めたまままたベッドに寝転がりテレビを眺める。電話は切ったがテレビは目に映るだけでちっとも頭には入らずーーぼんやりと泉の脳裏には一貴のことが浮かぶばかりだ。  ゲイ、ノンケ。  そんな単語をスマホからネットで検索しはじめ、泉は今日もまた悶々とする夜を過ごすことになるのだった。 ***
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