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「あの無感動さにイラッとしてな。つい、やっちまった。破壊っつっても、ちょっと殴っただけだぞ。我らがコンピューターさまは神経質すぎんのさ」
「それで、また刑期延長?」
「あんな世界にもどるくらいなら、いくらだって、ここにいてやるさ」
あのとき、シイナはノノアに依頼して、RIB端末(リブ)に細工をしていたのだ。
*
「現世(エデン)が滅びれば、ぼくたちだっていつまでもは生きられない。流刑街(エルダ)は完全な自活環境ってわけじゃないからね」
「かまわない」
「……破滅的だね」
ケージとシイナは、戦う。
「世界なんて、壊れてしまえばいいと思ってた、ずっと。いまだって」
「嘘だ」
シイナの爆弾を鋏で弾きながら、ケージは静かに言う。
「それは、嘘だ」
「嘘なんかじゃない! なにも知らない、ガキのくせに──」
「あなたが世界を滅ぼしたいと思いたがっている理由を、それらしく聞いたりはしない。興味ないし、聞いたところで、なにも関係ないから。ぼくは、世界を壊すのはまちがっていると思う──というより、そうなってほしくない。ぼくの身勝手な都合は、あなたの都合を知ったところで、折れることはない」
「殺してやるよ、ケージ。アタシの腕のなかで」
「あなたは世界を愛してる」
「なんだって」
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