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そう感じた翔太はその時以来、想いを深く沈めて、玲音が必要とする存在……おそらくは仲のよい友人、という立場に居続けることを心に決めた。
玲音の側にいられるなら、それでいい。
自分の秘めた想いなど、何度浮かんできたとしても何度でも沈めよう。
玲音の側にいるために。
ずっとそう思っていた。
けれどこれから先、玲音の人生に必要なのは自分ではなく、他の誰かになってしまうのではないか。
そう、例えば……
最近の翔太は玲音のことを想うたび、いつもそこにたどり着いてしまう。
何故なら。
今、玲音の隣にいるのは自分ではないからだ。そのことを考えると、翔太の心は千々に乱れた。
もしこのまま、自分ではない誰かが玲音の唯一無二の人になって、翔太はもういらないと言われたらどうする? 翔太がいないほうが、玲音が幸せになれると言われたら……どうすればいいのか。
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