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三限の授業が終わる直前の絶妙なタイミング、スマートフォンが振動したので何気なく手に取り、着信したメールをチェックする。送り主を確認したとたんに、心臓が跳ね上がった。
思わずその場に立ち上がる。周りの学生が驚いたが、気にしなかった。
届いたメールには、短い文章が二行と添付ファイルが一つ。
――翔太へ
――五分時間をくれませんか
添付ファイルを開くと、見覚えのある場所、ベンチの写真。
翔太は机に広げていた教科書類をわしづかんで一気に鞄の中に放り込むと、ジッパーを閉める時間も惜しむようにそのまま鞄を肩に引っ掛けて、チャイムが鳴ると同時に教室を飛び出し、猛烈なスピードで大学のキャンパス内を縦断するように走った。
向かった先は、教室棟から離れたところにある、サークル部室棟の裏。
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