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お昼時、学生達は皆各々食事に向かって行き、いつの間にか教室に一人になっていたが、翔太は立ち上がることが出来ずにいた。
「あー! 橘、やっと見つけた!!」
大きな声に、翔太ははっと顔をあげる。
「なんすか、橋本さん」
「おっ、先輩に対してご挨拶だね。なんだご機嫌斜めか」
まるでふてくされたような話し方の翔太に動じることもなく、橋本と呼ばれた男は気軽な足取りで翔太に近付いてきた。
「もー、朝から超! 探したんだけど。お前さ、何で連絡確認しないんだよ。LINE、既読すらつかないってどういうこと」
「すんません。電話は出るようにしてたんですけど」
野郎の声なんか耳元で聞けるか、と呟いた橋本はそんなことより、と改める。
「週末、レノンちゃんと何かあったんデショ? 内緒にするから俺にも何があったか、教えてよー」
「何のことですか? 意味不明なんすけど」
「またまたぁ、俺知ってるよん、金曜日レノンちゃん、橘に会いに来てたデショ」
翔太はどきりとして息を飲む。
「……なんで知ってるんすか」
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