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お昼時のキャンパスは、多くの学生でごった返していた。晩秋にしてはうららかな小春日和、ベンチや芝生でランチを広げる者も少なくない。
そんな中を翔太は人を探して彷徨い歩いた。さっきの今で、さすがにばつが悪い気がしたが、背に腹は変えられない。
というより、形振りかまっていられない翔太は、カフェのテラス席で意中の人を見つけて近づいた。先ほどの眼鏡女子である。
が、近づいたものの、どう声を掛けていいのか分からず、立ち止まった。
そしてあぁと声を漏らす。
先ほどの彼女らの気持ちが急に理解出来たような気がして、いくらか申し訳ない気持ちになった。
彼女の視野に入るか入らないかの距離で立ち尽くしていると、眼鏡女子がこちらに気づき、視線を向けてきた。
翔太は思いきって声を掛ける。
「ちょっといいすか」
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