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彼女は一緒にいた友達と二言三言、会話を交わしてから立ち上がると翔太の前まできて、突然頭を下げた。 「さっきはすみませんでした!」 ざわり。周りが一斉にこちらに向く。好奇心の目に晒されて、翔太は一気に汗が吹き出した。たまらず、 「場所を移さしてもらってもいいすか」 と提案し歩きだす。 眼鏡女子も慌ててついてくると、早口でまくし立てはじめた。 「私、ずっとレノンのファンだったんですけど、今年の春頃から学内にレノン目撃情報が頻繁にあがるようになって、どうやらレノンは幼なじみに会いに来てるらしいって知って、それがショータさんだったんですけど、私どうしてもレノンに会いたくてショータさんの周りをうろついてたら、なんと! レノンが私に声を掛けてきてくれて、ショータさんは芸能界と無関係の人だから迷惑をかけないで欲しいって頼まれて、だからお邪魔にならないように自粛してたんですけど、突然レノンが活動休止を発表したじゃないですか、つい我慢出来ずにああいうことをしてしまった次第です、すみません」 一気にそう言うと、彼女はもう一度頭を下げた。 翔太は、すげぇよくしゃべる娘だなと思ったが、黙っていた。
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