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「あ、あと下の名前呼びしてすみません。レノンがそう呼んでたんで……上の名前、知らなくて」 「橘」 「え?」 「名前、橘翔太。あんたは?」 眼鏡女子の目がキラリと輝く。 今のどこに彼女のスイッチが入る要素があったのか全く分からない翔太は、ちょっと引いた。 「私、樋口美和です。英文科二年。よろしくお願いします!」 よろしくお願いされてしまい、今度はたじろぐ。 が、ここで一方的に圧されているわけにはいかない。 「俺もさっきは悪かったです、すいませんでした。それと俺、年下なんで敬語いらないっすよ」 「いえ大丈夫です! ショータさんこそ敬語なしでどうぞ! で、早速なんですけどショータさんはレノンの活動休止の理由ってご存知ないんですか? 心当たりとかは?」 名字を教えても結局名前呼びで、しかも敬語のままかよ、と翔太は思った。 とにかく苦手なタイプだ。
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