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樋口の表情に、疑問符が浮かぶのが見て取れた。翔太はちょっと唐突すぎたかと発言を少し後悔していると、おもむろに樋口は答えた。 「いいですけど私、レノン推しなんですよねぇ」 「あの俺、何推しと分かんねぇので、そういうんじゃなくって」 「どういうんでしょう?」 この話を翔太が人にするのは筋が通っていないと分かってはいたが、ずっと心に引っ掛かっていたことだったので、ためらいはあったものの、翔太は先を続けた。 「レノンって、ホントは玲音の亡くなった姉さんの名前なんです」 「!……ああ、そういえばそれ、聞いたことあります」 「玲音って本名だから、あいつと話す時はレオンって呼んであげたほうが喜ぶと思うっていうか、多分、そっちのほうがあいつと仲良くなれると思います。普段は別にどっちでもいいすけど」
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