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月曜日。 平日の朝はロードワークから始まる。 それは翔太が子どもの頃から続けている習慣で、その頃はまっていた空手に必要なスタミナをつけるために始めたことだったが、怪我で空手を辞めた今でもその習慣だけは残っている。 朝の澄んだ空気の中を一心不乱に走るのが好きなのだ。走っている間は余計なことを考えずにすむし、その日の体調が把握しやすくなるところも気に入っている。 その日もいつも通り、翔太は朝起きてロードワークをこなした後、シャワーを浴びて朝食を済ませ、家を出た。 月曜日の授業は二限からなので、時間には余裕がある。ちょうど紅葉が見頃の時期であり、せっかくなので散策がてら、大学まで歩いて行くことにした。案の定、黄色く色づいた銀杏の並木道は、葉がひらひらと舞い散って美しい。 ああ、綺麗だな…… そう感じた翔太は、スマートフォンを取り出して写真を撮り、玲音にメールで送った。離れていても同じ感覚を共有することで、少しでも一緒にいたいと思ったのだ。 けれど玲音からの返信はなかった。
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