うまい話はないものだ

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 周りの騎士達は騒めき、得体のしれない子供に警戒して女王に駆け寄った。  魔狼はプーを頭から降ろして正面に掲げた。約一年ぶりの対面だ。 「……プー、だよな?」  以前はつんつんの短髪だった。脇を抱えられ目の前で両足をぷらぷらするプーの赤い目は同じだが。これはボブか、おかっぱか。前も後ろも同じ長さでサラサラの赤が強い茶髪で更に可愛くなっていた。股間にはやはり何もついてない。そしてすっぽんぽん。  じーっと見つめ合う魔狼とプー。  思わず無意識に優しく微笑んだのは魔狼だった。それは女王シュリだけでなくゴツい騎士達まで気恥ずかしい程の高雅な微笑だった。  警戒を忘れた女王と騎士は完全に見惚れていた。
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