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「聖霊かどうかは知らん。大事な友達だ」
ぺんっ!
肯定だった。
「子連れで戦争は危ないだろ。勇者は他をあたってくれ」
うんうんと頭上で頷いてるのだろう。プーの顎が頭にうにうに当たってあるのがわかる。
聖霊とを友達と言い切る魔狼に、また呆然となる女王と騎士達。次々と驚かされ、魔狼が席を立つのを硬直して見送っていた。
パタン
「あ、あの方をここに連れ戻しなさい!」
「はっ」
「は!」
ドアの閉まる音で我に帰ると慌てて呼び戻す様に命令する王女シュリ。同じく騎士も慌てて行動し始めるのだった。
これはチャンスだ。 今ここから逃げるべきだ。いやホントもう疲れたぞ。何が勇者だ戦争だ。勝手にしてくれよ。何の関わりもないのに力を貸せとな。まあよくも勇者になれるもんだ。下手したら死ぬか大怪我だぞ。俺には無理だ。
よし。人化でも本気で走れば人間には感知できまい。
「プー、走るぞ」
ぎゅむと頭をホールドし直したのを感じて走り出した。見事な白い壁をトッと蹴り、足跡を残して次の着地点に足を運び、広い廊下を歩く勤め人を避けては風を起こし走った。
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