しらぬは俺ばかり

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 それに勇者な。魔王倒すってなに。誰が決めた。倒してからが勇者じゃないの?ハナっから勇者なのは強制労働?倒したらどうしてくれんだ。和平条約結んでんだからまた結び直して終わりだろ。あ、戦おわり?倒した?凄いね、お疲れーで、用無しだろ。どうせお偉いさんも褒美やら保証とか税金無駄無駄とか言えずに奥歯に挟まってんだ。それで、?  また何か引っかかった。後からオチがつくヤツ。どこだ。どれだ。気付け俺。 「ルーお前聞いてるか」 「は?何だ」 「だからよ。色々溜まってんなら丁度後ろのでいいじゃ無いかって話だ。悪く無いだろ」 「後ろ?」  後ろといえば。  腐森牛の現場に居合わせ、あの後から一定距離を保ち尾行してくれてる女がいる。疾走すれば距離も取れる。敵意殺意、魔力も無いからライバ同意で放置しているのだが。  長いマントのフードを被っているが顔は見える。二十歳にも満たないと思われるが子供でも無い。少しつり目だが丸々として目鼻立ちはいい。長い茶髪はメッシュが入り前髪だけが顔に流れ、残りはフードの中らしい。  ジャラジャラと鎖の音がして、フードの中の毛皮か何か獣の薄いニオイがするのは多分ネコ科か。  で?この女で丁度いい?  溜まってるから丁度いい? 「あ、そっち?」  漸くシモの話だと理解する。ライバは苦笑した。俺は魔狼で狼。人の性欲なんぞ関係ないわ。残念。 「ああ?何にムラムラしてんだ」 「あー、獣?」 「マニアックだな」 「勘違いするな。狩るのも食べるのも獣だ。運動不足なんだよ」 「だからな、それでも丁度いいってんだよ。わかんねえヤツだな!」     
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