しらぬは俺ばかり

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「どうするも何も、足手まといは困るな」 「そんな!お願い!」  軽く拒否ると縋り付くといっていい目で見られた。関係者が増えるだけでイベント多発予想しかない。関係をこれ以上築かなければ大丈夫なのか?まさかな。無理だろ。 「おい、ルー。この国で鎖付きは主がいる。届ければ謝礼がつくぞ」 「はあ?鎖?」 「ここは閉鎖的人間の国。獣人は使用人でしかない。貴族どもがメイドや子守りに雇う。奴隷じゃないから脱走に離職罰もないが雇用主がいいやつなら礼も太い」 「あ、あのっ!(あるじ)は昨日の腐森牛で亡くなったんです。隣村に買い物に出た帰りで、身内の方は都で、ひとり隠居されてて、その、私の雇い主はもういません。給金の高いこの国に働きに来たけど、それで、だから、故郷に帰ろうと」  女は途中から俯いて段々小声になった。俺もライバも一瞬だけ、あっ、て顔になった。 「……」 「……」  イケメン二人視線を無言で交わす。何だ。いつからそんな仲だよ。わかってるよ。この獣人が路頭に迷うのは俺らのせいだ。  シモの話は吹っ飛んだ。  ライバも頭をフードの上から掻き、既に明後日の方向を見ていた。  キーワードは『故郷に帰る』  攻略キャラを入手した気がする。  これ、どうすんだおい。     
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