いや、これはよくない傾向だ

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自分の住む島を成田空港と重ねてピンを置き、地球の世界地図として考えてみた。多分成田十二時間フライト。渡航先はドバイやワシントンとかだ。正確な距離は書いてないから位置確認に過ぎないが、それ位離れているのはわかった。そして現在地の大陸はクロウ達が住む大陸の方が近い事もだ。それでも帰るべき場所がある事を良とし安堵して向き直る。 「それで、何故俺が喚ばれた」 「イシュー様の啓示ですな。勇者がここにいるという位置を示されたのじゃ」 「イシュー?」 「おぉ、ご存知でない?神の御言葉ですぞ。勇者殿はやはり他国から来られたようじゃな。ワシらは魔方陣の導きのまま勇者殿を受け入れておってな」 ウォークに変わり魔法師長ヒュッテはニコニコとヒゲを摩りながら言い切った。 神?いよいよ胡散臭いぞ。クロウから実在すると云われる古種魔獣や建国の祖を信仰対象にする場合があるとは聞いた。これもその類なのか取り敢えず聞くことにした。 「神とは何だ」 「地岩竜様じゃ。この大陸は魔国侵略と抵抗の歴史と共に在りでな。大昔、勇者様はイシュー様と協力して魔王を制圧したのじゃ。守護古竜様は平和をもたらす崇めるべき神じゃよ」 「この国はその神とやらと意思疎通ができると?」 訊き返しつつ炎竜のリリーちゃんが浮かんだ。基本騒々しいのを避ける竜が人に協力するなんて余程だ。     
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