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『誘った手前支払いは気にしないで食べたらいい』と言ったライバはテーブル下で財布の中を確認しているんだけどな。
着の身着のまま追い掛けて来たミミは、なフードを脱ぐと大きな耳に髪も全体メッシュというか斑らで、どう見ても三毛猫だ。
俺の不躾な視線に気が付き、ンッがっぐっぐと何某さんのような嚥下をした。
「ぷはっ。田舎は獣人少なくて視線がイタイから被ってるの」
「……そうか」
「食べないならコレもらっていーですか!」
「ああ」
定食で頼んだが、やはり肉しか食う気がしない。偏食甚だしい。プラム類似の果実だけ取り、プーが寝てるポーチに放り込む。
モゾモゾと動きが伝わるから起きてはいるらしい。暗いから居心地が良いんだろう。
ガツガツ食べるミミを恐々とみるライバを横に、食堂の窓越しにみる村は、通り過ぎてきた村より確実に兵が増えていた。今まで見なかった重装騎兵も十数人。負傷した離脱兵もチラホラいる。
戦地に近付いていると実感する。
「負け戦について聞きたいんだが」
「関わる気ないだろ」
「参戦しない意味でな」
ふーん?と口の端をあげたライバは自称元偵察部。要するに斥候だ。敵状視察することは候補したとはいえ、それだけの能力があるし状況を把握できているということだ。
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