いや、これはよくない傾向だ

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常人には近付けない場所を住処とする故に人は古竜になかなか逢えない。伝説の生き物と云われる由縁だ。 「実に三百年振りの侵攻だ。魔王の世代交代の戦は力試しのつもりだろう。新魔王次第で和平条約が破棄され大陸は戦禍に包まれるんだ」 「何とも迷惑な話だな」 「そうだろう?だから魔法師の少ないこの大陸に勇者様の力が必要なんだ」 これは魔王についても知っておいた方がいいが、三歳魔王を思い出す。アレと関係があるだろうか。知れば知る程げんなりした気分になって来る。これ以上聞かなくていいんじゃないか。 だって俺は勇者する気ゼロ。プーが頭に乗ってるし、早く帰ってのんびりしたいだけ。 「俺の他に今も候補がいるならその勇者に頼め。そしてイシューに協力して貰えばいい。よし解決だ」 ウォークとヒュッテは顔を見合わせ眉を八の字に困った顔をして、ウォークが我先にと口を開く。 「正直に言おう。召喚した勇者様は十代の子供が続いた。魔力も剣技も駄目で特別な力も無く泣くわ逃亡を図るわで元の世界に帰した。貴方の様な大人を待ち望んだのだ」 「異世界から来て名を残すのはニポ人という黒髪の者が多いのに残念な話じゃ。あなたは黒髪なのに目も肌も違うし、この世界の服も着ておる。他国から何か力があり選ばれたのは事実。だからこそ勇者様ですな」     
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