あたらしい召喚

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あたらしい召喚

勇者と加護付きよりも気になって金の冠を載せた男を見る。アレはどう見ても王冠だ。 その視線に気がついたのか前に立ちはだかるのは自称王という女。 「私はこの国の王です。民達を守りたいのです。魔物に蹂躙、ましてや支配などされたくありませんでしょう。どうか。どうか勇者様の御力を民と国の為に!」 疑念の視線に気づいたのか大きめの声で王と二回言う。 「あの冠の男が王じゃないのか」 「あれは王族の未婚の男がつける儀式装ですが、それよりも勇者様。ここは民の前。詳細は城で話しましょう。快諾して笑顔を見せればそれで良いのですよ」 「……は?」 王は小声で告げてにっこり微笑んだ。 やっぱり俺は勇者設定なのか。魔物転生はもう仕方ないしこの体も慣れた。多分全属耐性の最強ボディはチートスキル。そして転生といえば異世界で無双がセオリーで、魔王討伐もイベントも死亡フラグがたっても勝利しかない。いやまてコラ。 自分は今や魔物だが支配なんぞ興味はない。己が穏やかに過ごす為、当たり障りなく周りに振り回されず、縄張りで力を誇示しあうだけだ。 「さあ、勇者様」     
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