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ええ?これから帰るに決まってるだろ!
「ぅぶ」
プーは魔狼のその顔を隠すが如く飛び付いて頭をホールドして、髪をぐいぐい引っ張り始めた。
顔面は胸と腹で押され、肩に両足をクロスされては首が締まる。さらに力強く両腕で頭部をぐっぐっとホールドする。簡易三角締めかよ。意外と苦しい。なんだ?どーいうことだ?見た感じ三歳前後の幼児で前より縮んでるのは確かだ。
べりっと引き剥がすとプーはシュリの方を向き顔をくしゃりとして舌を出した。完璧なあっかんべー!というやつだった。
「……何やってんだ」
「な、何ですかその子供は、何者!」
シュリは突然の事に驚き、小さな子供にバカにされカチンきたとばかりに声をあげ、それが号令かの様に呆気に取られていた騎士達は女王の側に立つ。
「何だと言われたら、ふわふわ光ってたやつだが」
「まさか聖霊様なのですか!?」
「せ、聖霊さま?」
「え!」
プーを抱っこにしようかと向きを変えていたらよじよじと登り自ら肩車になり、また髪を引っ張り始めた。
「プー痛いぞ、やめないか」
ぺんっ
べしべしっ!
魔狼はどういう返事だか判らず眉間に皺を寄せ首を傾げると一緒にプーも傾き、落ちまいと首や身体が斜めるのをムーッという顔になり耐えきった。
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