卒業おめでとう

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──……卒業証書 真壁やしな あなたは本校において普通課程を卒業したことを証する……── 目の前で卒業証書を読み上げる先生。 「ありがとうございます」 先生から卒業証書を受け取る。 「俺がパソコンで作ったやつだけどな」 「ううん。それでも嬉しい」 パソコンで作ったやつであっても、あたしにとってはれきっとした卒業証書だ。 「やしな、黒板見ろよ」 中学から一緒だった、神谷くんが黒板を指さす。 「……え?」 神谷くんの言葉に黒板に目をやると、このクラスのみんなの名前。 「……あたしの名前」 そこに一緒に自分の名前も書かれていた。 「なにこれぇー」 こんなの嬉しすぎて、また涙がでてくる。 「丈、言わなかったんだな。偉い」 神谷くんが丈の頭を撫でる。 「ちょ、やめろよ。気持ち悪い」 心底嫌そうな顔をして、神谷くんの手を離す。
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