卒業おめでとう

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「言うわけねーだろ。そんなの」 「いや、お前のことだから企画したのが俺だからこそ……」 「おい、お前俺のことなんだと思ってんだよ」 二人のやりとりをみて、学生時代に戻ったようでとても嬉しかった。 「心配だったから〝言ったら今からでも奪うからな〟って言ったんじゃん」 「おい、それを言うなよ」 中学の頃、あたしのことを好きだと言ってくれた神谷くん。 そんな神谷くんをずっと丈は気にしていたから。 「ねぇ、丈」 丈の制服の裾を引っ張る。 「ん?」 「卒業祝いあげる」 あたしはカバンから1枚の紙を取り出す。 「卒業祝い……?って……え!?」 手に取ったその紙を見て目を丸くしてる。 「え!?マジで!?」 「うん。悠人がお兄ちゃんになるよ」 あたしが丈に見せたのは1枚のエコー写真。 今日の朝、産婦人科で手に入れたものだ。 「あ、やしな」 丈がパッとあたしを見る。 「ん?」
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