卒業おめでとう

「卒業おめでとう」

2年間あたしも通った校門の前。
出てきた愛しい人に声をかける。

「ありがとう。あげる」

ポケットから出したのは第二ボタン。

「二つ目だね」

「中学の時とな。全部お前と一緒だったな」

「高校の卒業だけは一緒じゃないけどね」

中学の頃から付き合ってたあたしち。

「これ、見ろよ」

ぶっきらぼうに今日もらったであろう、それをあたしの前に置く。

「あ、うん。見ようかな」

自分はのってないその卒業アルバム。
あたしは一枚一枚アルバムを開いていく。

「あ、丈（じょう）の顔へんだよ」

個人写真のページを見てぷっと笑う。

「いや、みんなが変顔するとか言ってたんだよ」

「でも、誰もしてなくない？」

「まじ、騙されたんだよ」

はぁっとため息をつく。

「本当なら……」

個人写真のページを触る。