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何故ならそこにいる少年は、神に背を向ける大罪人だからだ。
「何者だ、小僧」
「知る必要はない」
ばっさり切り捨てて歩いて迫る少年。
どうして彼がここに現れたのか響にはわからない。だけど彼女でも一つだけわかることがあった。
【禁じられた聖域】はただの人間を遠ざけ限られた者しか踏み入れない結界だ。そこに踏み入ったということはつまり、彼はただの人間ではない。
彼もまた特異な存在。自分やこの男と同種の人間。
つまり、
「まさか……"お前も"、なのか…?」
「……ハァ、予想外だよ、まさか高鳴がここにいるなんてな」
「なるほど、顔馴染みということか。さてはこの娘の学友か何かか?」
「お前が知って得することはない」
刺のある言葉。初めて見る凶悪な眼差し。
間違いない。彼は間違いなく、自分たちと同じ種類の人間だ。
「関わる必要はないんだが、知ってる女の子が泣きそうになってんのを見たらさすがに黙って見過ごせないからなぁ。つーわけで邪魔させてもらうぞ―――魔術師」
少年―――魔術師・鈴重夜道は冷徹な声音でそう告げた。
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