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学校のかったるい授業から解放され、夜道はさっさと鞄に教科書を詰めて教室を出ようと立ち上がる。
「夜道、一緒に帰ろうぜ」
「お前部活は?」
「辞めた」
「早過ぎだろ、先週入ったばっかじゃねえか」
「だって思ったより女子にモテないんだし、やってても仕方ないだろ」
「そんな理由で部活すんな」
横で大あくびをする陽京はたった一週間で入部したバスケ部を辞めたらしい。
その前はサッカー部で、その前は陸上部。その前は水泳部で、テニス部にハンドボール部にカルタ部にバドミントン部に。
入部理由が女子にモテたいという軽率極まりない物なんだから、そりゃ長続きしないのは明白だ。もっと頑張れと言ってやりたい夜道だが、言っても無駄だろうと思い言わない。ていうか言うのも面倒くさい。
「はー、どうしたら女子にモテるんだろうなー」
「勉強すりゃモテるだろ」
「学年三位のお前がモテてないからそりゃねーよ」
「喧嘩売ってんのかお前」
こめかみに変な力が籠るが、間抜けに笑う陽京を見てすぐに力が抜ける。ついでに気も抜けてしまい、夜道はため息を吐き頭をかく。
「あ、そうだ夜道。お前高鳴になんか言ったのか?」
「いいや何も」
「ホントかぁ?なんか高鳴昼休みからずっと機嫌悪かったじゃん。お前高鳴に冷たいし、なんかあんのか?」
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