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「僕、あんな挙動不審な理沙ちゃん、初めて見たよ」
「絶叫ヨガ以来じゃないだろうか」
「……マスター、意外と根に持つタイプなんですね」
祥太郎のツッコミは、聞こえないふりをされる。
「マスターも、リサのお師匠とは面識がないのですね」
「ああ、そうなんだよ。理沙君がここへ来た時に、手紙は頂いたのだが。普段は庵からほとんど出ず、外界とのかかわりもあまりないようだと、理沙君も言っていた」
「引きこもりなのかー」
「まあ、高名な能力者にも、そういうタイプはよくいるね。……ところでマリー君、そろそろ才君の結界を解いてあげてくれないか」
頭の周囲に色鮮やかな泡を飛ばしまくっている才を見かね、マスターはため息をついた。マリーは頷くと、取り出した扇を一振りする。
「あーっ! ようやく声が出せる! 息が出来る!」
「別に、呼吸は止まってないはずだけれど」
「気分の問題なの! つーか、気軽にポンポン俺に術かけるのやめてくれよ! ――それより、ウリョウだっけ? 理沙ちゃんの師匠、怪しくね? なんか理沙ちゃんもひどい目に遭わされたとか、そんなんじゃねーのかな?」
早口でまくし立てる才に気圧されつつも、マリーは首をひねった。
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