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「実は、師匠が、このアパートに来たいって」
「えっ――え?」
「ん?」
「…………」
「ふむ」
言葉は違えど、微妙な反応を返す一同。
「あ――えっと、来たいっていうのは、住みたいとかじゃなくて、訪問したいってことです。この前アパートに被害が出たことをどこかで知ったみたいで、様子を見に来たいって」
「ちょっと待ってリサ。それだけ?」
「えっ、うん」
どうも話が噛み合わない。マスターは少し考え、彼女に尋ねてみた。
「私としても一度お会いしてみたかったし、大歓迎だよ。何か、問題でもあるのだろうか」
「問題……というほどのことはないんですけど、あの、いきなりだとビックリしちゃうかなーとか。あたしも久々に会うってこともありますし。それでその、一応皆さんにもお話ししとかなきゃって。――あっ、あたし、シロちゃんを探しに行ってきますね!」
それからまた、そわそわとし出し、急いで部屋を出て行ってしまう。
「一体、何なのかしら」
その姿が見えなくなると、マリーがぽつりと言った。
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