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「どうかしら。たまーにリサからお師匠の話が出るんだけれど、そんなにひどい人って印象はないのよね」
「手紙も簡潔ではあったが、理沙君を思いやる気持ちは伝わって来たよ。彼女の技術を見ても、丁寧に教えていたことが窺える」
「じゃあ何で、あんな変な態度なんだよ。ぜってーおかしいだろ」
「それは、わたしもそう思うけれど……」
理沙の様子が変なのは確かだ。才の言葉に強く反論できるほどの根拠もない。
マリーが助けを求めるように視線を向けると、マスターは腕を組み、口を開いた。
「雨稜さんは人付き合いが得意ではないようだし、そういったことを理沙君は心配しているのかもしれないね」
「さっき、いきなりだとビックリしちゃうとか言ってたし、そんなとこなのかなぁ。……でも、理沙ちゃんの師匠って、どんな感じの人なんだろう」
「そりゃ偏屈じじいだろ、やっぱ。仙人っぽい感じの」
「女の人かも知れないわよ? 意外と若かったりするのかも」
祥太郎の言葉を皮切りに、今度は理沙の師匠への興味が、皆の中へと膨れ上がっていく。
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