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ぎこちなく微笑む商人の男が言うと、黒髪の男は受け取った革袋から金貨を取り出した。
「金貨十枚。確かに受け取った」
しっかりと一枚ずつ数え、金貨を革袋に戻す。そして、ゆっくりと口を開いた。
「一ついいか?」
「はい?」
「誰でもいい。〈大罪人〉の行方を知っていないか?」
「〈大罪人〉、ですか? 三年前の戦争の……? さぁ、私には……」
少し考え込んだ後、商人はそう答えた。
「そうか。また何かあったら依頼してくれ」
踵を返し、市場の雑踏に消えるかのように歩き出した。
「――フェリックス……。必ずお前を探し出してやる」
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