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ピピピッ……ピピピッ……
寝る前に設定した携帯のアラーム音が枕元で鳴り響く。
うるさい。もう少し寝かせてくれ。自分でこの時間に設定したくせにそんなことを思いながら携帯に手を伸ばすが、寝ぼけているからかうまく掴めない。
そうこうしていると携帯をベッドから落としてしまい、目を擦りながら拾いあげるとうるさいアラーム音を解除するため俺は画面を思い切り連打した。
「……はっ!?」
自分の指紋べったりな画面に表示された時刻を見て一気に眠気は吹っ飛ぶ。
時刻、十九時十一分。
「はぁ~……またやってしまった……」
すっかり暗くなっていた部屋を見てため息を吐き、そのまままた背中からベッドへダイブする。
絶賛春休み中だった俺はここのところ毎日朝に寝ては昼に起き、そして昼飯を食ったらまた眠気に襲われて寝る、というつまりクズのような生活を送っていた。
もちろん、そんなに寝ていたら夜眠れるワケもなく、俺の生活リズムは完全にこの心地良い春の暖かさによって狂わされてしまっていたのだ。
いつものように徹夜でゲームして、飽きたら漫画読んで、ネットサーフィンでもしていたら朝に勝手に眠くなるはず――
でも今日はそんなワケにはいかない。何故かって? 簡単な話だ。
この春休みは、今日で最終日だからである。
俺、麻丘伸也(アサオカシンヤ)は明日、今年設立されたばかりの私立村咲(ムラサキ)学園へと入学する。
家からはそこまで遠くない。しかも設立されたばかりの真新しい校舎。 一期生。魅力的な条件に俺はすぐに受験を決めた。
まだよくわからない出来たばかりの学園に入学することを躊躇う同級生が多く、同じ中学出身の奴は誰一人としていない。俺にとってそれは好都合でしかなかった。だって……だって……
「もう地味な学園生活なんてオサラバだーーっ! はーはっはっは!」
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